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帝釈山塊の沢と湿原をめぐる

 かねてから訪れたいと思っていた帝釈山塊で沢登りをしてきた。栃木県の女夫淵から入山して、鬼怒川支流の赤岩沢を遡行し、群馬県側の片品川支流の北岐沢を下降。翌日は同じく片品川支流の東岐沢を遡行して、再び栃木県側の女夫淵に戻るルートだ。遠藤OBと小林OBが同行してくれた。

 赤岩沢は50m級の大滝2つを擁する豪快な渓。ロープを張って大きな滝を登り、詰めあがると源頭部に黒沼田代というひっそりとした小さな湿原があった。また下降した北岐沢はナメの美しい沢で、これもまた源頭に小松湿原という、登山ルートから外れた美しい湿原が佇んでいた。北岐沢1800m付近には格好の平坦地があり、ここを一夜のねぐらとした。焚火ですっかり体を乾かしてタープの下に潜り込んだが、明け方は震えがくるほど寒かった。翌日辿った東岐沢も、短いが上半部に美しいナメや小滝が連続する沢で、詰めあがった先には広大な鬼怒沼湿原が広がっていた。入山から鬼怒沼湿原までは、他の誰とも会うことのない山行だった。