現在地

池口岳~光岳~聖岳

【行動概要】

 このところ、お盆の時期は一人で縦走に出かけている。仲間がみな帰省してしまうためだが、久しぶりにアルプスの稜線を旅してみたいという気持ちもある。年齢のせいかもしれないが、自分の気持ちには素直に従うことにしている。2013年には針ノ木から鷲羽を経て黒部五郎まで、2016年は餓鬼から槍を経て笠まで、いずれも快晴に恵まれ3日間で縦走した。今年は南アルプス南部の縦走。池口岳から光岳を経て聖岳までを3日間で計画した。  

 実際の山は、ほとんどが霧と雨だった。特に池口岳と光岳の間はまともな道がないので、濃い霧に包まれた原生林の中、4回も道に迷ってしまった。スマホに入れたGPSソフトで現在位置を確認し、地形図とコンパスで進むべき方向を定めて軌道修正した。お盆なのに誰ひとり合わなかった。いや、ひょっとしたら一人いたのかもしれない。自分が踏み跡を見失って彷徨しているとき、「ボコッ」という登山靴で朽木を踏み抜くような音が稜線上で聞こえたため、見上げると、濃い霧の中に人のようなシルエットが一瞬だけ見えた。急いでそこまで登ってみると、誰もいなかった。しかし踏み跡は確かにあった。あれは、動物だったのだろうか、それとも…  

 夜は2晩とも雨がテントを叩いた。テントは浸水し、自分の古い山道具は次々に水を吸った。お札もすべて濡れてしまい、コンロで乾かすはめになった。  

 最終日の朝、少しだけ晴れた。どうせ天気は悪いのだろうと高をくくって寝坊したので慌てた。聖岳の頂上には昨日行ってしまっているので、その手前の前聖岳の頂上まで大急ぎで登り、つかの間の眺望を楽しんだ。遥か彼方のガスの中に光岳がちらっと見えた。そして山々は再び霧に巻かれてしまった。  

 思えばこんなにも悪天に見舞われ、朝から雨具の上下を着こんで行動するような山行は久しぶりだった。山中では悪天を呪ったものの、山から帰ってきてみると、濃い霧の中にぼうっと浮かび上がる踏み跡や、風雨の荒れ狂う稜線が、妙にいい風景だったと思えてくるのが不思議なものである。

【タイム】

8月10日(木)曇りのち霧のち雨

625池口岳登山口⇒1115池口岳⇒1305加加森山分岐⇒1540光岳⇒1600光小屋幕営

8月11日(金)霧時々風雨

520出発⇒650易老岳⇒850茶臼岳⇒1130~1200聖平にて幕営⇒1400聖岳⇒1530聖平

8月12日(土)晴れのち曇り

635出発⇒730~745前聖岳⇒1130易老渡